5話 仕事2008-12-31 Wed 15:26 「ゼン。ちょっとやってもらいたい事があるんですガ 」「え〜。ゼン今日は仕事があるのぉ?」 ゼンは嫌という気持ちを隠そうともしない少女を苦笑いしながら見ている。 「仕方ないよ。オレ元々千年公に仕事屋やってもらたいって言われたから来たんだもん。」 しかし、ゼンの言葉を聞いてもロードの不機嫌そうな顔は消えない。 一方ゼンの方は、ロードのそんな顔も可愛いなと思っている次第である。 「ちょっとぉ。ゼン何笑ってるのぉ」 自分を見て何故か微笑んでいるゼンの顔を見てロードの顔はますます不機嫌そうに歪められた。 ごめんごめん。とゼンも一応謝るが、その顔はにやけたまま。 ついにロードは頬を膨らましてしまった。 「ロード…口の中にどんぐり入れたリスみたいになってるよ」 「ぶ〜」 しばらくその顔のまま黙りこくっていたが、急に何か良いことを思いついたかのような顔をしてゼンの目を真っ直ぐに見て、得意そうに笑う。 そのロードの顔を見て、ゼンは今ロードが何を考えているか分かった気がした。 「じゃあさ。ボクも一緒にゼンと行く!」 「駄目」 せっかく思いついた名案を駄目と即答されて、ロードは嫌悪感を表すより先に不思議そうな顔をした。 「ちなみにこれは個人的な理由。ちょっとこの仕事はロードに見ててほしくないんだよ」 そう言った後、ゼンはゴメンねと言った。 反則…そんな顔しないでよ。何にも聞けなくなちゃうよ… 結局、ロードは「分かった」と言い、口を尖らせてゼンから顔を逸らした。 ゼンはニコッと笑って「ありがとう」と一言言って立ち去った。 「よっしゃー。準備完了だな」 ゼンの前にあるのは小さな袋。横から出ている紐を腰に結んで付けるタイプ。これだと両手が自由に使えるし、動きやすいので楽だ。荷物もほとんどないし、この位の大きさが一番。 ゼンはそれを腰に付けて、近くにあった黒色のフード付きの服を着ると立ち上がった。 「急なお願いでスミマセン 」「いえ。最初からそう言われてましたし。オレも助かります。千年公の情報速いですから」 「そう言ってもらえると助かりますヨ 」「それから、前も言いましたが…」 千年伯爵はゼンがまだ言い終わらないうちに頷いた。 「分かっていますよ」 ゼンはニコリと笑うと、千年伯爵に一礼してから出口に向かおうとしたが少し迷うようにしてまた止まった。 「どうしたのですカ?」 「ロードに、三日くらいで帰るので心配しないでと、伝えてくれますか?」 「えぇ。それくらいならお安いご用デス 」「ありがとう」 ゼンは苦笑いしながらそう言い、今度こそ出口に向かった。 ゼンも大変ですね…千年伯爵はそう思ったが、その後にでも幸せなんでしょうネとも思った。 「あれ、ロード今日一人?」 庭をぼーっと見つめていたロードは視線を外さないまま「うん」と答えた。 「今日はゼンが仕事で出てて…三日位は帰って来ないんだってぇ」 ティキはロードのすぐ横まで来たが、ロードは気にせずただ庭を眺めていた。 元気ねぇな。ティキはそう言ったが、ロードからしたらまだまだ元気な方だった。もっと寂しいと感じると思っていたので案外平気だったなぁと思う。それでも寂しい事には変わりないけど。 「んー最近はずっとゼンと一緒にいたからねぇ。いざいなくなったら何していいのか分からなくなって」 「ふーん。あ、そうだ。ロード、千年公が呼んでたぞ。何か仕事があるみたいなこと言ってたな」 ロードはそれを聞いてニッと笑った。 「丁度暇だったしねぇ。さて、なんだろぉ」 ロードの嬉しそうな顔を見て、ティキは苦笑いする。 「俺はまたしばらくいないから」 「また人間の所ぉ?」 あぁ。と答えてから、ティキはくるりと向きを変え、片手を上げながら出口の方へ行く。 ロードもそれ以上追求せずに、ティキとは正反対の方向に行く。 その日、ロードは千年伯爵にイノセンスがある可能性が高い町へ行ってほしいと言われた。何でもその町の時間が繰り返されてるとか何とか。ロードは軽くOKすると、早速その町へ向かった。 そこは、ある町の路地。血の臭い特有の鉄の臭いが充満していた。 そこに、ゼンと五人程の男がいた。五人の内二人は道に倒れており、ピクリとも動かない。ゼンはまだ無傷な男に鎌を振り下ろしているところだった。 肉を斬る音と、血が勢いおく噴き上がる音がした。 「ぐあぁぁぁあああぁぁっ!!」 「あーあ。避けなきゃよかったのに。ひと思いに一瞬で消してあげようと思ったのにさ。お前みたいな中途半端な速さしか出せない奴がオレの攻撃を避けるからそんな重傷負うんだよ。馬鹿だなぁ」 そのままゼンはフッと消えた。 「!?」 ザクッ 怪我を負った男の背後にいつの間にか移動していたゼンは、勢いよく鎌を横に振り男の首を切り落とした。 「っ!くそっ!!」 ゼンは残った二人を見つめた。 「チッ!我、名の元に狭間を作り出す唯一の生き物と賞される主よ。汝、我の前に…―」 何かを唱え始めた男を見て、隣にいた男がその男を守るかのようにゼンを睨み付けた。 「駄目」 ボソ、とゼンが呟く。そして、男が気がついたときはもう遅かった。 肉を切り裂く音がして、何かを唱えていた男は倒れた。 「逃がさないんだから」 そして、隣にの男にも鎌を振り下ろそうとして、やめた。 「あんた…人間だな。じゃぁ殺さねぇ。だけど、気を付けときなよ?何時あんたに神の制裁が下るのか、オレにも分かんないからな」 そう言ってゼンはその場から立ち去る。先程斬った男達は、もう灰になり始めていた。 「他の奴らは何処だろう?速くロードの所に戻らないと」 そこは、ある町の路地。男がただ一人震えていた。 |
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